第45回GVFセミナー「入管政策の転換点~外国人材獲得のための諸政策評価~」

 この度、イミグレーションロー実務研究会は、法務省の第七次出入国管理政策懇談会委員である筑波大学准教授の明石純一先生をお迎えし、「入管政策の転換点~外国人材獲得のための諸政策評価~」と題し、ご講演頂きます。国内における労働力不足の声が高まる昨今、様々な政策が打ち出されておりますが、今後の政策に関する理解を深める非常に有益な機会となるかと思います。

 また第二部では、明石先生に加え、これまで当会で講師を務めていただきました実務家弁護士、大学での海外移民法研究家、入管法の立法事務経験者および入管法を執行していた元地方入国管理局長経験者による、最近の政策についての分析とディスカッションを行います。

 ご興味のある方は、是非、ご参加ください。

◆開催日:2017年7月22日(土) 13時00分~17時00分
◆参加費:
イミケン会員:無料
その他    :5,000円

◆会場:港区商工会館
住所:東京都港区海岸1-4-28
電話:03-3433-0862
※地図はこちらをご覧ください。

お申し込みは専用フォームよりお願い致します。

第一部 基調講演(13:15~14:45)

テーマ:「入管政策の転換点~外国人材獲得のための諸政策評価」
講師:筑波大学准教授 明石純一先生

 戦後日本の入管政策の展開を通観するとき、2012年12月に成立した現安倍政権の特徴は、日本経済の成長という目的に合致する外国人の受入れを、「移民政策」の明確な否定のうえで積極的に促進している点にある。もちろん日本の入管政策はこの国で彼(女)らが働くことに対して道を閉ざしてきたわけではない。しかし現政権は、かつてないほどにそのルートの多様化を進め、受入れの拡大を企図している。そして上の志向は,日本の外国人労働者への依存を今後否応なく強めるであろう。日本の入管政策は転換点を迎えているのだろうか。本報告では、近年展開されている外国人材獲得のための諸政策の動向を俯瞰し、その多面的な評価を試みてみたい。

【明石純一先生プロフィール】

明石先生

筑波大学准教授、博士(国政政治経済学/筑波大学)、修士(国際公共管理学/モントレー大学院)。

 大学では「国境を越える政治」や「アジア移民社会論」などを講義。主な業績として、『入国管理政策:「1990年体制」の成立と展開』(2010年、単著)、『移住労働と世界的経済危機』(2011年、編著)、『「グローバル人材」をめぐる政策と現実』(2015年、共編著)、『変容する国際移住のリアリティ』(2017年近刊、共編著)。日本学術振興会科学研究費により「移民政策の形成過程分析と政策評価」、「国際労働移動の政策的管理と外交過程」、「人の国際移動をめぐるリージョナルガバナンスの国際比較実証分析」などの研究調査事業を遂行。2004年にブリティッシュカウンシル等の取組みにより始まったMIPEX(移民統合政策指標)、オックスフォード大学に設置されているDEMIG(国際移民決定要素)、EUI(欧州大学院)によるINTERACT(移民の社会統合)において、日本側調査担当兼レヴューチーム等に所属。ILO(国際労働機関)、ADBI(アジア開発銀行研究所)、OECD(経済開発協力機構)、APEC(アジア太平洋経済協力)、世界銀行等において、人の国際移動をテーマとした国際比較調査等に参加。移民政策学会理事(2010~2014、2017~)。一般財団法人日伯経済文化協会評議員(2014~)。法務省難民審査参与員(2015~)、法務省第七次出入国管理政策懇談会委員(2016~)。大学の社会貢献事業「移民児童に対する『職育』プロジェクト」代表(2011~)。

講師参考リンク:
第7次出入国管理政策懇談会
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri06_00078.html
論文「安倍政権の外国人政策」
http://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/700_02.pdf
論文「海外から働き手をいかに招きいれるか」
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/ronbun1702_05.pdf

第二部 ディスカッション(15:00~16:45)

 明石先生の第一部での分析と問題提起をもとに、この数年間で実施されあるいは検討中の新しい外国人材受入れ制度について、当会の講師経験者によるディスカッションを行います。オーストラリア移民法の専門家である浅川先生には同国との比較という見地からのご意見も述べていただきます。

◆議論する新制度(あくまで予定で、当日変更になることもあります)
1 ビザ緩和措置とワーキングホリデー協定の拡大、医療滞在ビザ、観光・保養ビザ導入
2 法務省以外の省庁の関与あるいは他省庁の先行審査による上陸審査における在留資格該当性判断の法務省からの権限の実質的な移管による外国人材の受入れ
・国交省による外国人建設就労者および外国人造船就労者受入事業
・経産省による製造業外国人従業員受入事業
・農水省の日本料理海外普及人材育成事業による外国人調理師受入
・厚労省と法務省共管の外国人技能実習機構による新しい技能実習生受入れ制度
3 国家戦略特区の活用による自治体レベルでの外国人材受入
・家事支援人材受入事業
・海外需要開拓支援等外国人(クールジャパン人材)
4 法務省の永住許可ガイドラインの変更による「高度専門職」で在留する外国人の最短1年での永住許可申請可能とする継続在留条件緩和措置
5 在留資格「介護」の新設

◆パネリスト 5名
明石純一 筑波大学准教授、法務省出入国管理政策懇談会委員、同難民審査参与員
浅川晃広 当会顧問、名古屋大学・講師、法務省入国管理局・難民審査参与員
山脇康嗣 当会顧問弁護士、第二東京弁護士会国際委員会副委員長、日本弁護士連合会人権擁護委員会特別委嘱委員(法務省入国管理局との定期協議担当)
佐藤義一 新橋国際法務合同事務所代表行政書士、千葉科学大学講師、元札幌入管局長
畠山学  元東京・大阪入管局長、元公益財団法人国際研修協力機構名古屋事務所長

◆コーディネーター3名
森灘康之 当会事務局長 行政書士事務所アプリコット所長
木島祥登 当会国際法規部長 デロイト・トーマツ行政書士法人代表社員
中井正人 当会代表 行政書士法人中井イミグレーションサービス代表社員

パネリスト 5名の方のご経歴と論文等

〇浅川 晃広 あさかわあきひろ 当会顧問
名古屋大学大学院国際開発研究科講師、法務省難民審査参与員

浅川先生

http://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/view/html/100002701_ja.html
http://www.geocities.jp/asakawaakihiro/ 

2002 年 8月から 2年間、在オーストラリア日本大使館専門調査員
著書 :「オーストラリ ア移民法解説」日本評論社(2016年8月)
「難民問題を考える視点 少ない認定者数の真実」イミケン書房(2016年7月)
http://tinyurl.com/hk9eoeh
「近代日本と帰化制度」渓水社(2007年9月) 他多数
現在、公益財団法人入管協会発行月刊誌「国際人流」にて
「オーストラリアの移民政策と移民法」連載中

〇山脇康嗣(やまわきこうじ)弁護士 当会顧問
さくら共同法律事務所

山脇先生

http://www.sakuralaw.gr.jp/profile/yamawaki/index.htm

第二東京弁護士会国際委員会副委員長
日本弁護士連合会人権擁護委員会特別委嘱委員(法務省入国管理局との定期協議担当)
論文及び寄稿記事多数
最新論文:
「一体的に進む外国人の受入基準緩和と管理強化」
(自由と正義2017年6月号所収、日本弁護士連合会、平成29年)
最新寄稿記事:
東洋経済オンライン「農業の「外国人就労特区」法案に潜む重大問題」(平成29年6月12日)
http://toyokeizai.net/articles/-/175084
主著:
『詳説入管法の実務—入管法令・内部審査基準・実務運用・裁判例—』(新日本法規出版、平成22年)
『Q&A外国人をめぐる法律相談』(新日本法規出版、平成24年)
『入管法判例分析』(日本加除出版、平成25年)他多数

〇佐藤義一(さとうよしかず)
新橋国際法務合同事務所 所長行政書士
千葉科学大学危機管理学部非常勤講師

佐藤先生

(主な職歴)
1992年2月~ 在ニューヨーク日本国総領事館領事(領事部長)
1997年4月~ 外務省アジア局地域政策課企画官
2001年4月~  法務省大臣官房秘書課国際室長
2007年4月~  法務省法務総合研究所研修第三部長
2009年4月~  大阪入国管理局関西空港支局長
2010年4月~  法務省札幌入国管理局長
2012年5月~現在まで
        国際企業人事サービス株式会社(現在 代表取締役)
        新橋国際法務合同事務所(現在 代表行政書士) 
2013年4月~現在まで  千葉科学大学危機管理学部(非常勤講師)

最新論文:「戦後出入国管理制度の変遷と変容」-外国人労働者をめぐる在留資格制度の揺らぎ- 判例時報第2332号(2017年7月21日発売予定)
公益財団法人入管協会発行月刊誌掲載論文:
「スーパーグローバル大学、そして留学生30万人計画の行方」(2016年10月号)
「在留資格「介護」の創設と介護人材問題の背後にあるもの」(2015年10月号)
「技能実習制度の拡大は外国人出稼ぎ労働者受入れの道か」(2014年9月号)
「高度人材外国人に対するポイント制度による優遇制度の行方」(2013年11月号)
著書:「外国人労働者の入国・在留をめぐる諸問題の研究」(法務研究報告書76集2号 法務総合研究所1988年)

〇畠山学(はたけやままなぶ)
(元東京・大阪入管局長、前JITCO名古屋事務所長)

畠山先生

1976年 東北大学法学部卒業 法務省入省
1989年3月~1992年3月 在ニューヨーク総領事館領事部長
1996年4月~1997年3月 法務省入国管理局入国審査課審査指導官
1997年4月~1999年2月 法務省大臣官房秘書課国際室長
1999年3月~2001年3月 法務省入国管理局難民認定室長
2001年4月~2003年3月 法務省入国管理局参事官
2007年4月~2008年3月 法務省入国管理局警備課長
2008年4月~2010年12月 大阪入国管理局長
2011年1月~2012年3月 東京入国管理局長
2012年3月 法務省退職
2012年10月~2015年3月 公益財団法人国際研修協力機構熊本駐在事務所長
2015年4月~2016年9月 公益財団法人国際研修協力機構名古屋駐在事務所長
2016年9月 同機構退職
現在、技能実習監理団体他で顧問として活躍中

論文他:
CiNii収録論文
・新しい在留資格制度のスタートについて:偽装滞在対策の進展への期待 2012年
・入国管理局における不法滞在外国人縮減に向けての取組―法務省入国管理局警備課長
畠山学さんに聞く(特集 進む不法滞在外国人対策)(2007年)
・日本人の実子を扶養する外国人親の取扱いについて(1996年)
・正しい外国人の受入れとは―不法就労防止と技能実習制度の活用(正しい外国人の受け入れと技能実習制度)1996年